【わんこのアレルギー症状】犬のアレルギーとは?種類と症状をご紹介いたします。

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◆アトピー性皮膚炎◆

人間と同様に、かゆみを伴う慢性的なアレルギー性皮膚疾患です。
花粉やハウスダストなど、環境中のアレルゲンが原因で起こる皮膚炎です。

原因
 複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。

遺伝的素因: 特定の犬種(柴犬、シーズー、フレンチブルドッグ、ゴールデン・レトリーバーなど)は、遺伝的にアトピー性皮膚炎になりやすいと言われています。

環境中のアレルゲン ハウスダストマイト(ダニ)、カビ、花粉など、
身の回りの環境に存在する物質が主な原因となります。
これらのアレルゲンが皮膚から侵入し、過剰な免疫反応を引き起こします。

皮膚のバリア機能の低下:アトピー性皮膚炎の犬は、皮膚のバリア機能が低下していることが多く、
アレルゲンが体内に侵入しやすくなっています。
皮膚が乾燥し、外部からの刺激に弱くなっている状態です。

症状
 主な症状は「強いかゆみ」です。かゆみが原因で、犬は体を頻繁に掻いたり、舐めたり、床にこすりつけたりします。

かゆみ:掻き壊すことで皮膚に炎症が起こり、さらにかゆみが増す悪循環に陥ることがあります。

皮膚の赤み・湿疹:特に、耳、顔、足先、脇の下、お腹、しっぽの付け根などに症状が現れやすいです。

脱毛:掻くことや舐めることで、部分的に毛が抜け落ちてしまいます。

色素沈着・皮膚の厚み:慢性的に炎症が続くと、皮膚が黒ずんだり、厚くなったりすることがあります。

二次感染:皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌(膿皮症)や真菌(マラセチア性皮膚炎)による二次感染を併発しやすいです。これにより、さらにかゆみが悪化することがあります。

※一般的に、生後6ヶ月から3歳頃の若い時期に発症することが多いです

治療と対策
 アトピー性皮膚炎は、根本的な体質が原因であるため「完治」は難しいとされていますが、適切な治療と日々のケアによって症状をコントロールし、犬の生活の質を保つことができます。

薬物療法
かゆみを抑える薬:ステロイド剤、分子標的薬(アポキル、サイトポイントなど)、免疫抑制剤(シクロスポリンなど)などが症状に合わせて使用されます。

二次感染の治療: 細菌感染や真菌感染が起きている場合は、抗菌薬や抗真菌薬が処方されます。

環境改善
アレルゲンの除去: こまめな掃除、空気清浄機の活用、カーペットからフローリングへの変更など、ハウスダストやダニ、カビを減らす工夫が重要です。

季節性アレルギー対策: 花粉の季節には散歩時間を短くしたり、帰宅後に体を拭いてあげるなどの対策も有効です。

スキンケア:シャンプー:獣医師と相談して、皮膚の状態に合った低刺激性や薬用シャンプーを使い、定期的にシャンプーすることで皮膚を清潔に保ち、アレルゲンや微生物を洗い流します。

・保湿:シャンプー後に保湿剤を使用し、皮膚のバリア機能をサポートします。

食事療法
 食物アレルギーが合併している場合もあるため、獣医師の指示のもと、アレルゲンを含まない食事に切り替える「除去食試験」を行うこともあります。

減感作療法(アレルゲン特異的免疫療法)
 アレルギー検査で特定されたアレルゲンを少量ずつ注射し、体を慣れさせる治療法です。
完治を目指せる可能性のある治療法ですが、効果が出るまでに時間がかかり、全ての犬に有効なわけではありません。

愛犬に強いかゆみや皮膚の異常が見られた場合は、早めに動物病院を受診し、
適切な診断と治療を受けることが最も重要です。

◆食物アレルギー◆

特定の食べ物に含まれるタンパク質などの成分に対して、
体の免疫システムが過剰に反応することで引き起こされるアレルギーです。
かゆみや消化器系の症状(下痢、嘔吐など)が起こります。

原因となる主な食材
 アレルギーの原因となるのは、犬がこれまで食べてきたことのある、身近な食材に含まれるタンパク質が多いと言われています。主なアレルゲンとして挙げられるのは以下のものです。

  • 牛肉
  • 鶏肉
  • 乳製品
  • 小麦、大豆、トウモロコシなどの穀物

主な症状
 食物アレルギーの症状は、皮膚に現れるものと消化器に現れるものに大別されます。
体重減少
皮膚症状
  強いかゆみ(特に耳、顔、足先、脇の下、お腹、肛門の周りなど)
  皮膚の赤み、湿疹
  脱毛
  耳の炎症(慢性的な外耳炎)
消化器症状
  嘔吐、下痢、軟便/おならの回数が増えたり、においが強くなったりする


食物アレルギーの症状はアトピー性皮膚炎と似ているため、見た目だけで区別することは難しいです。また、両方を併発しているケースも少なくありません。

診断と治療
 食物アレルギーの診断と治療で最も重要なのは、
「原因となる食材を特定し、それを食事から完全に排除すること」です。

 アレルギーそのものを完治させることは難しいですが、適切な食事管理を行えば、症状を抑え、
普段通りの生活を送れるようになります。

診断
除去食試験
  食物アレルギーの確定診断には、一般的に「除去食試験」が行われます。
  これは、これまで犬が食べたことのない新しいタンパク質(ラム肉、鹿肉、魚など)や、
  アレルゲンになりにくいようにタンパク質を細かく分解した加水分解タンパク質を含む療法食を、約8〜12週間与え、症状が改善するかどうかを確認する方法です。

この期間中は、療法食以外の食べ物(おやつ、人間の食べ物、サプリメントなど)は一切与えることができません。

治療
・除去食試験で症状が改善した場合、次に負荷試験を行い、元のフードやおやつに戻してみて症状が再発するかを確認します。
これにより、どのアレルゲンが原因であるかを特定することができます。

原因が特定できたら、その食材を含まないフードや手作り食に切り替え、食事管理を続けることで症状をコントロールします。

愛犬にアレルギーを疑う症状が見られた場合は、自己判断せず、まずはかかりつけの獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

◆ストレス◆

犬のストレスとアレルギーは見過ごされがちです
原因1
・免疫システムのバランスが崩れる:犬がストレスを感じると、体内でストレスホルモン(コルチゾールなど)が過剰に分泌されます。
コルチゾールは通常、炎症を抑える働きもしますが、
慢性的なストレス下では免疫システムのバランスを崩し、次のような悪影響を及ぼします。

皮膚のバリア機能の低下: 皮膚の健康を保つためのバリア機能が弱まり、外部からの刺激やアレルゲンが侵入しやすくなります。その結果、皮膚の炎症や感染症が起こりやすくなります。

アレルギー反応の増幅: 免疫システムが過敏になり、通常なら問題にならないアレルゲン(花粉、ハウスダストなど)に対しても過剰な反応を起こしやすくなります。

原因2
行動の変化で物理的なダメージが増える。
ストレスを感じている犬は、精神的な不快感を和らげようとして特定の行動を繰り返すことがあります。これもアレルギー症状を悪化させる直接的な原因となります。

自傷行為: ストレスが強いと、自分の体を掻きむしったり、尻尾や足を噛み続けたりすることがあります。これはアレルギーによるかゆみとは異なる原因で起こりますが、結果として皮膚を傷つけ、症状をさらに悪化させます。

過剰なグルーミング(舐める、噛む): ストレスが原因で、同じ場所を執拗に舐めたり噛んだりする行動が増えます。これを舐め壊しといい、舐められた皮膚は炎症を起こし、細菌や酵母菌が繁殖しやすい状態になります。

主な症状
過剰なグルーミングや舐め壊し:手足や尻尾の付け根などを執拗に舐めたり噛んだりします。
これは、アレルギーによるかゆみとは別に、精神的な不快感を和らげようとする行動です。

食欲の変化:食事に対する関心を失って食べなくなったり、逆に食べ過ぎたりすることがあります。

無駄吠えや要求吠え:普段はあまり吠えない犬が頻繁に吠えるようになるのは、ストレスのサインかもしれません。

落ち着きのなさ:部屋の中をソワソワと歩き回ったり、意味もなくウロウロしたりします。

破壊行動:家具やスリッパなどを噛み壊す行動が増えます。

排泄の失敗:トイレのしつけができていた犬が、家の中で粗相をすることがあります。

犬のストレスのサインは、行動的なものと身体的なものに分けられます。
アレルギーの症状と重なる部分もあるので、見極めが重要です。

身体的な変化
脱毛や皮膚の炎症:ストレスによる過剰なグルーミングや舐め壊しによって、特定の場所の毛が抜けたり、皮膚が赤くただれたりします。アレルギーの症状と混同されやすい部分です。

下痢や軟便:精神的なストレスが胃腸に影響し、消化不良を起こすことがあります。

フケの増加:ストレスによって皮膚のターンオーバーが乱れ、フケが増えることがあります。

震えや体のこわばり:明らかな寒さや恐怖の原因がないのに、体が震えたり、硬直したりすることがあります。

これらの症状は、アレルギーとストレスの両方からきている場合があるので、飼い主さんが日々の様子をよく観察し、獣医師に詳しく伝えることが大切です。

診断
どうやって見極める?
犬のストレスがアレルギー症状を引き起こしている場合、単なるアレルギーとは異なり、原因が複雑に絡み合っています。
獣医さんは以下の点を中心に診断を行います。

心因性の可能性の判断:他の病気が除外された後、精神的な要因(ストレス)が原因である可能性を疑います。この場合、心因性皮膚炎と診断されることがあり、これは数値や検査結果だけでは判断できません。

詳細な問診:飼い主さんへの聞き取りが最も重要です。

症状の始まりと経過:いつから症状が出たか、特定の出来事(引っ越し、家族が増えた、留守番が増えたなど)がなかったか。

行動の変化:痒み以外に、無駄吠え、破壊行動、食欲の変化などが見られないか。

環境の変化:生活環境やルーティンが変わっていないか。

他の病気の除外:まずは、ノミ・ダニ、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など、かゆみを引き起こす他の身体的な病気がないかを確認します。
血液検査や除去食試験などが行われることがあります。

治療
ストレスとアレルギーを同時にケア治療は、ストレスの原因を取り除くと同時に、皮膚の症状を緩和することが目的です。

ストレス原因の除去と環境改善:根本的な治療として、ストレスの原因(例:運動不足、退屈、騒音など)を特定し、取り除くことが最も重要です。

具体的な対策:散歩時間の延長、遊び時間の増加、安心できる居場所の提供、ノーズワーク(嗅覚を使ったゲーム)など。

行動療法の導入:ストレスに敏感な犬の場合、専門家による行動療法が推奨されることがあります。飼い主さんが犬とより良い関係を築くための方法を学びます。

内服薬やサプリメント:痒みや炎症がひどい場合は、皮膚の状態を改善するために、抗炎症剤や抗生剤、シャンプー療法などが併用されます。
また、場合によっては獣医師の判断で抗不安薬や、リラックス効果のあるサプリメント(例:L-テアニンやα-カソゼピンを含むもの)が処方されることもあります。

予防
ストレスを溜めない毎日の工夫。
アレルギー症状の再発を防ぐためには、日々の生活でストレスを予防することが欠かせません。

十分な運動と刺激:毎日決まった時間に散歩に行く、新しい遊びを取り入れるなど、犬の身体と心を適度に疲れさせる工夫をします。

安心できる環境づくり:犬が一人で落ち着ける場所(ケージやベッド)を確保します。

積極的なスキンシップ:ブラッシングやマッサージは、単に被毛のケアだけでなく、飼い主さんとの絆を深め、犬の心の安定にもつながります。

ルーティンを大切に:食事や散歩の時間をできるだけ一定にすることで、犬は安心して生活を送ることができます。

◆ノミアレルギー◆

ノミアレルギー性皮膚炎は、犬がノミが吸血する際に犬の皮膚に注入する唾液に含まれる成分(特定のタンパク質)がアレルゲンとなり、免疫系が過剰に反応すし強いかゆみを伴う皮膚炎が特徴です。
原因
少数のノミでも発症:ノミアレルギー性皮膚炎は、たった1匹のノミに咬まれただけでも、強いかゆみや広範囲な皮膚炎を引き起こすことがあります。

アトピーとの関連:アトピー体質の犬は、ノミに対してもアレルギーを持つことが多いと言われています。

主な症状
ノミアレルギーの最大の特徴は、**「激しいかゆみ」**です。

ノミの存在:犬の体や寝床に、ノミそのものや、ノミの糞(黒い小さな点)が見つかることがあります。ただし、激しいかゆみで掻くことで、ノミ自体はほとんど見つけられないケースも多いです。

かゆみ:背中、腰、しっぽの付け根、お腹、後ろ足などに特に強いかゆみが出ます。
あまりの強いかゆみに、犬は眠れなくなってしまうこともあります。

皮膚の炎症:かゆみから患部を激しく掻きむしったり、舐めたり、噛んだりするため、皮膚が赤くなったり、発疹や丘疹(ぶつぶつ)ができたりします。

脱毛と二次感染:掻き壊しによって毛が抜け、皮膚が傷つきます。
その傷口から細菌などが感染して、化膿したり、かさぶたができたりする二次感染を併発することがよくあります。

診断と治療
診断:症状の確認、ノミやノミの糞の有無、そしてノミの駆除薬を投与して症状が改善するかどうかで判断します。
治療と予防
ノミの駆除:最も重要なのは、原因となるノミを完全に駆除することです。
動物病院で処方される経口薬やスポットタイプの駆除薬を定期的に投与します。

かゆみ・炎症の治療:かゆみがひどい場合は、かゆみを抑えるための内服薬(ステロイドなど)や外用薬が処方されます。二次感染を起こしている場合は、抗菌薬や抗真菌薬も使用されます。

環境の清掃:ノミは犬の体にいるだけでなく、部屋のカーペット、ベッド、ソファなどに卵や幼虫が潜んでいることが多いため、犬の治療と同時に、部屋の徹底的な掃除(掃除機、殺虫スプレーなど)が不可欠です。

ノミの活動が活発になる春から秋にかけて発症することが多いですが、暖房の効いた室内では一年を通して発生する可能性があります。そのため、予防は一年を通して行うことが重要です。

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